千と千尋の神隠しの都市伝説的なトリビアには、「母親が千尋に対してあからさまに冷たい」「両親がブタになった背景」などというものがありますが、ジブリ作品ならではの深いメッセージが込められているように感じます。
そこで、この記事では「千と千尋の神隠し」にて噂されるネタについての真相を、独自の解釈にて解き明かしていきたいと思います！
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【千と千尋の神隠し】母親が冷たい理由とブタの関係がヤバい？！
両親がブタになった理由
主人公である10歳の少女荻野千尋は、両親と共に引っ越し先のニュータウンへ車で向かっていた。父の思いつきで、森の中の奇妙なトンネルを通り、無人への街へ迷い込むが、そこは八百万の神々が住む、人間が足を踏み入れてはいけない世界だった。
街の雰囲気に怯えている千尋とは対照的に、両親は探検気分で街の中を散策する。そんな中、食べ物が並ぶ無人の飲食店を見つける。お腹も空いていた事もあり、両親は店員が来たらお金を払うとして、置いてあった食べ物を勝手に食べ始めてしまう。
娘の千尋も美味しから食べるように誘われるが断り、1人街の中を散策に行く。千尋が旅館の様な大きな建物に辿り着く中、少年からすぐに戻るようにと促される。
両親の元へ急いで戻ると、両親の服を着た2匹の豚が、食べ物を食い散らかしていた。その豚こそが千尋の両親で、神々に出す食べ物を勝手に食べてしまった事から、罰を与えられて豚の姿へと変えられてしまっていた。
豚はバブル時代を皮肉った表現なのか？
2001年に公開された千と千尋の神隠し。千尋の父明夫は、建築会社に勤めている38歳。母の悠子は、35歳。年齢から考え、共にバブル時代を経験してきたものだと思われる。バブル時代とは、1985年から1991年までの日本におけるバブル景気時代の事を言う。
この時代は空前の好景気で、国内外・昼夜を分けずに猛烈に働く事が時代の趨勢となっていた。若いうちに、小さながらもマンションを取得したり、大学生が高級ホテルのスイートルームでクリスマスパーティーを開いたりと、高級志向が人々に浸透した時代だった。
豚は富の象徴とも言われており、豪遊していたバブル時代の人々の姿を豚に例えて表現しているのだろう。そして、食べ物を食い散らす姿は、欲しい物を手当たり次第買い漁っていた人々の姿を映し出しているのだろう。
本人達にはわからないが、周囲から見るとこの様に映っているのだよという皮肉さが、このシーンに込められているように感じる。
千尋がブタを見分ける事ができた理由とは？
当初、千尋は、ハクから豚小屋に案内してもらった際、両親がどれなのか判別する事が出来ずにいた。そんな千尋が、湯婆婆から数頭いる豚の中から両親を当てられたら自由にすると言われた際、この中には両親はいないと見事言い当てる事が出来たのだろうか。
そこには両親を救う為、湯屋である油屋で働いた事が関係しているのではないだろうか。初めは礼儀知らずで、仕事の手際が悪かった千尋。油屋で働く中で、様々な人と触れ合い、経験を積み上げていく事で、適応力や忍耐力が身に付いたものと思われる。
その為、湯婆婆が意図しているものとは何か、見抜く事が出来たのではないだろうか。人間の世界から迷い込んだ千尋を初めは拒否していた湯婆婆だったが、強引で諦めない姿に半ば呆れながらも雇い入れ、成長する姿を目の当たりにし、徐々に千尋を側に置いておきたいと考えるようになった。
全頭従業員が化けたダミーの豚を用意するとは、一見すると意地悪な問題のようにも感じるが、そこには湯婆婆の見事正解して見せよという親心の様なものが隠されている気がする。千尋は、そんな気持ちを察し、見事言い当てたのではないだろうか。
母親が千尋に冷たい理由とは？
10歳といえば、まだ母親に甘えたい年頃であるが、千尋の母親は、車から降りてトンネルを歩く際、「千尋、そんなにくっつかないでよ。歩きにいくわ。」という言葉を娘に発している。
暗闇のトンネルを怖がるのは当然であり、母親にすがりたいと思う千尋の気持ちはとても良くわかる。更には、足場の悪い岩場を渡るシーンでも怖がる千尋に手を貸す事無く、「千尋、早く来なさい。」と伝えている。一見すると娘に対して、あまりにも冷た過ぎるのではないかと感じる母親のこの行動。
しかし、母親は娘の事を嫌っているわけでは無く、ドライに振る舞う事が多いものの、心配したり気にかけたりする親らしい一面を持ち合わせている事がわかっている。
つまり、娘を自立させる為にあえて、突き放すような態度をとっているのではないだろうか。油屋で働き始めた当初の千尋の姿が、その事を現しているように感じる。
親心としては、娘に手を差し伸べたいという気持ちがあったのかもしれない。しかし、それでは困った時に何でも頼れば良いやという甘え癖がついてしまう。
そんな癖がついてしまった場合、今後困るのは千尋である。自分で解決しようとする力がつかず、結局困難にぶつかった時、打ち勝つ事が出来ないのではないだろうか。
その為、母親はドライな態度を取り、成長するようにと促しているのではないだろうか。千尋の母親とは対照的に、自身の子を甘やかして育てている湯婆婆。
その結果、息子の坊は、性格はかなり我儘となり、癇癪を起こすと暴れ泣き喚き、怪力で部屋を破壊したりとやりたい放題である。親の育て方一つで子供の性格が、こうも変わってしまうと映画を通して伝えようとしているのではないだろうか。
豚に関する意外なトリビア
千と千尋の神隠しの制作のきっかけとなったのは、宮崎駿の友人である日本テレビ放送網の映画プロデューサー、奥田誠治の娘である。千尋のモデルともなったこの少女。10歳前後の年齢の女子に向けた映画を作った事が無かった宮崎は、少女達を喜ばせたいという思いから、この作品を作り上げた。
さてジブリ作品の中で豚と言ったらすぐこの名前が思い浮かぶのではないだろうか「紅の豚」。この作品の主人公ポルコ・ロッソと今回の作品の豚には、果たして関連性があるのだろうか。ポルコと言えば、英雄になる事を拒み、自身に魔法をかけて人間から豚の姿へとなった。
魔法がかかって人間から豚になったという部分で言えば、紅の豚と通じるものがあるように感じられる。そんなポルコのモデルの噂として、奥田誠治や宮崎駿の名が挙げられている。
その当時、もののけ姫の海外が進出が思うように進まず、宮崎が落胆していたとの噂がある。その際、元気付けてくれたのが奥田一家で、感謝の為に娘と父をこの作品に出演させた可能性があるとも言われている。真相は定かでは無いが、そんな思いが込められているとしたら何とも心温まる話である。
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