1997年公開のアメリカ映画「タイタニック」は、言わずと知れたジェームズ・キャメロン監督の代表作の一つです。
今では古典的な傑作となっているこの作品は、ドラマチックでスペクタクルな映像美に気をとらわれがちですが、脚本も素晴らしく、セリフの細やかなところまで描写に贅を尽くしており、ある程度年月を置いてから再度落ち着いて視聴するべき価値のあるディテールに溢れています。
「タイタニック」には、かねてからいくつかの疑問やその意味が取りざたされ、複数の解釈もされているシーンが多くあります。はっきりとした理由や結末を明白にせず、視聴者の判断にゆだねられているためです。
ジェームズ・キャメロン監督独特の良さは、芸術性や話題性を追うあまりに時に猟奇的で残虐さが漂う作品が多い作品の中に置いて、ややスピリチュアル的な要素を含む博物学的な知識を盛り込み、あくまで娯楽大作に徹している所にあります。
この記事では、下記にての3つの内容について、考察を進めてみることにいたします。
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【タイタニック】ラストシーン考察まとめ！
➀碧洋のハートを海に捨てた理由：海岸遠く離れた深い海への投棄は、浄化、そして誰にも迷惑がかからない封印
“碧洋のハート”のモデルは、言わずもがな、かのホープ・ダイヤモンドを彷彿させるものであり、欲にくらんで手に入れた宝物が次々とその持ち主に禍をもたらしたという品物のように、強引な強欲者の所有者からの首輪の様なプレゼントとして登場する。
ヒロインであるローズは、事実上貴族階級を護るために身売り同然の状態の旅路で、ジャックと出会い、激しい恋をしながら、恐ろしい事故と共に全てを失った。
しかし、碧洋のハートは唯一残されており、死を間近に控えた時期に、引き上げられてタイタニックから発見されたジャックの絵を見て驚愕する。
その絵には、碧洋のハートのみを身につけた、若かりし日の自分の姿が描かれており、一気によみがえる記憶の中で、碧洋のハートは思い出の品ではなく、忌まわしい記憶が封じ込められた物でしかなかったことを再認識したのだ。
碧洋のハートのモデルでもあろうホープ・ダイヤモンドは、インドの寺院から盗み出され、数多くの犠牲者を経た後に博物館に安置された。
年老いたローズは、おそらく最後の旅、最後の日となるかもしれない夜の甲板から、深い海の底へ碧洋のハートを投げ捨てた。スピリチャルな浄化の方法としてよくとられている方法は、石の月光浴や塩浴である。
深い海の底、海水にさらされて沈んでいく忌まわしい碧洋のハートは、海水にさらすことや月の光を受ける事などの浄化を経て、今後誰の手にも渡ることもなく、このような辛く哀しい思いを封じたという風にも解釈される。
②ローズの最後について：暖かなベッドの上で息を引き取る
ローズの最後は、作品中のジャックのセリフで仄めかされている。凍える氷河が散在する冷たく暗い海ではなく、暖かなベッドのうえで眠るように穏やか死、それが死を覚悟したジャックの愛する人への最後の願いであった。
死の瞬間は描かれていないが、ベッドに横たわった彼女は、翌朝も目覚めるのかもそれないのだが、碧洋のハートと決別したローズは、呪いから解き放たれた状態であるはずだ。
思い残すことはなく、老齢者としてしあわせな最期を遂げるであろうと予測されることは明白である。
ローズの窓際に飾られている若き日の乗馬姿の写真から察すると、その当時女性がパンツ姿で馬にまたがるなどもってのほかの時代、女優業をしていたとはいえ、かなり先駆者的な女性として人生を送っていたと考えられる。
枕元に置かれたペットの金魚もまた、成功や健康と言ったポジティブなイメージを持ち、現在のローズの恵まれた状況を表しており、なおかつシンボルとして、これから会う重要な人の存在を仄めかしていると解釈される。
③ローズの最後は夢だった可能性について：死にゆくローズが夢見たファンタジーとしての結末
「タイタニック」の最後は、大型豪華客船が沈没後に、亡くなった人達が全てよみがえり楽しく華やかだった船内の様子が再現されている。
もちろん、ジャックもローズを招き、ローズが幾度となく夢見た光景で終わるファンタジックな情景である。
これを、ローズが忌まわしい碧洋のハートと決別した夜の夢とも、穏やかな死を迎えたローズの見た夢であるという解釈できる。
ローズにとって、重要な人物とは、生きて会える別れた当時そのままのジャックであることから、最後のシーンは、ベッドの側に置かれた金魚の鉢に象徴されるジャックの登場である。
夢での出来事がそのままその夜のローズの死につながるかどうか不明だが、夢で重要な人物と再会できたことは確かである。
夢落ちおよびあの世ファンタジーの可能性が高いが、取り上げている題材により、魂の救済を描いた非凡な出来上がりとなっていることは間違いない。
さいごに
上で取り上げた内容は、飽くまでも個人的な考察なので正解なのかはわかりません。しかし、完全にネタバレしなかったからこそ、視聴者の判断に委ねるおわかり方が想像力を掻き立てることになり、結果オーライなのではないかと思いました。
1990年代のターミネーター2に続いて、ジェームズ・キャメロン監督の魔法に魅せられたこの作品は、2000年代の「アバター」へと続き、2020年代も心を揺さぶる大作を産み出してくれることを強く願います！
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