映画「ゲド戦記」はその作風から「怖い」と言われることがあるようですが、その要因のひとつには、登場人物のひとり・魔法使いのクモに関係しているようです。
一説によると、トラウマ級のレベルだとも言われているようですが、この記事では、ゲド戦記のクモについて、下記の内容を取り上げていきます。
- 正体
- 過去
- 最期
- 怖いと言われる理由
- 性別
- 声優
クモの正体や過去について
引用元 https://www.ghibli.jp/works/ged/#&gid=1&pid=27
クモは、主人公のアレンやハイタカと敵対する魔法使いとして登場します。映画ではクモとハイタカが出会った頃のシーンは描かれていませんが、会話のやりとりを聞いていると昔からの知り合いということがわかります。
原作によると、クモとハイタカは同じ学院で学ぶ魔法使い同士。つまり学友だったことがわかります。どちらも魔法使いの才能に恵まれ優秀だったがゆえに、自らの力に溺れタブーを犯そうとした過去があったのです。
まさに、「才子才に倒れる」ということわざの通りになってしまいました。そこからハイタカは師匠の助言により目を覚ましますが、クモはそうはいきませんでした。
死んだ者を現世に呼び出す「呼び出しの術」を使うようになり、ついに賢人たちによって追い出されてしまいます。
改心したハイタカは、クモにも同じように目を覚ましてもうらうべく黄泉の国にクモを連れて行きます。
そこで苦痛や恐怖を与えますが、遺憾なことにクモはハイタカに恨みをもってしまい、復讐心に駆られてしまう結果になってしまいました。
映画では、この黄泉の国でのシーンが描かれていないのでクモとハイタカの間で何があったのかは、謎のままでしたが、これがクモの正体です。
クモの性別や声優について
クモは、実は男だった!
外見は女性に見えますが、クモは男性です。あの姿に、声優を務めたのが田中裕子さんだったので、最初は女性かと思ったほどです。これは原作も同様で男性の設定になっています。映画で変えられたのは名前です。
クモは原作では、「コブ」という名前で登場しています。クモに変えた理由は公表されていませんが、日本では蜘蛛をイメージしてこちらの方がおどろおどろしさが感じられます。そして外見が女性に見えるのは、ビジュアルモデルにしたのが女性のためです。
それは、この映画作品を制作したスタジオジブリの女性スタッフです。最初は自分がクモのビジュアルモデルだったことを知らずに驚いたそうです。そんな女性に見えるクモですが、最後のシーンではこの女性らしさが消えているので、ここで気づく方も多いでしょう。
個人的にはハウル役を演じた方の奥さんに似ているような気もしますが、事務所から苦情がくるかもしれませんので、ここまでにしておきます(汗
声優は女性が担当!
引用元 https://www.cinematoday.jp/news/N0111685
クモは、女性的な外見とは裏腹に、実は男性だったことがわかりましたが、声優さんは女性が担当していました。演じていたのは、女優の田中裕子さんで、沢田研二さんの奥さんでもあります。
テレビドラマや映画では、
- 「おしん」
- 「東京タワー」
- 「まれ」
- 「なつぞら」
- 「天城超え」
- 「ホームレス中学生」
といった話題作に出演していたり、ジブリ作品では「ゲド戦記」以外にも「もののけ姫」にエボシ御前役として出演していました。
引用元 https://www.ghibli.jp/works/mononoke/#&gid=1&pid=50
クモの最期について、身体がドロドロになった理由とは?怖いと言われる理由はこの場面が原因だった!
クモ「こわい こわい…」#ゲド戦記 #金曜ロードショー pic.twitter.com/9vxqM8NZmJ
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) April 9, 2021
クモの最後のシーンは、印象に残った方も多いでしょう。竜になったテルーに追い詰められたクモは、これまでの若々しい姿とは打って変わって、人間離れした姿になります。
空洞になったような大きな目に、しわだらけの肌、骨格さえも変わった姿。これが魔法を使っていない、本来のクモの姿なのかもしれません。
テルーから「影は闇に帰れ」と言われ、焼き払われ、ドロドロになって最期を迎えます。最後まで死を拒み続けたクモの最後のシーンは、無残なものでした。
クモは自らの体を黒いヘドロのようなドロドロした状態にして、攻撃をしたりしていました。この魔法はすべての魔法使いが使えるわけではなく、クモのように魔法を濫用し闇にのみこまれてしまった者が使う魔法だと考えられます。
主人公のアレンの夢にも、このドロドロは登場します。ドロドロはアレンを助けようと、ハイタカ・父・影のアレンと姿を変え、手を差し伸べます。これにより、心の均衡を壊しているアレンには、まだ救いの光があることがわかります。しかしクモには、このように救いの光がありません。かつて救ってくれようとしたハイタカを恨んでいます。
おそらく闇にのまれてしまったクモは、心だけではなく体もドロドロになってしまったのかもしれません。生きることばかりを欲し、死ぬことを拒み続け、不老不死になろうとしたクモは破滅の道を進んでしまいました。
一方アレンは、この生と死に向き合い、恐れて逃げていた自らの影をとりこみ立ち直ります。そして自分自身のいた国に帰ることを決めます。
心の均衡を壊してしまい父親を剣で刺し逃げ出してしまった辛いできごとがありますが、それでも国に帰ると決意したアレンは、見事に闇を打ち払ったといえます。この映画では、問題から逃げずに向き合う大切さを教えている気がします。
さいごに
ゲド戦記に登場したクモは、おそらくジブリ作品の中でもトップクラスに怖くて怪しいキャラクターだと思います。飽くまでも架空のキャラクターとは言え、モデルになったジブリの女性スタッフの方は、複雑な気持ちかもしれませんね(笑)
まあでも、このような奇妙なキャラクターが物語をより印象的なものにしてくれるのは事実なので、その存在の大きさや視聴者に与えた影響力は凄かったので、登場させて正解だったのではないでしょうか?