ジブリ作品の「ゲド戦記」には、アレンというイケメンな主役枠のキャラクターが登場するのですが、ジブリ作品には珍しくどこか影を感じさせる役柄として話題になりました。
また、アレンの「ある行動」には、監督を務めた宮崎五郎氏と父親の宮崎駿氏との関係を紐づけるものともうわさされていたりと、ある意味問題作ともなった要素も秘められていました。
この記事では、ゲド戦記に登場するアレンにまつわる逸話をまとめていきます!
アレンの本名、旅に出た経緯について
引用元 https://www.ghibli.jp/works/ged/#&gid=1&pid=6
アレンの本名は「レバンネン」と言い、北海の海にあるエンラッドという島国の王子です。真面目な17歳の青年である彼が王子という身分を放り出し、旅に出た理由は父王を◯◯してしまったからです。
アレンもといレバンネン王子の父王は「賢王」と呼ばれるほど偉大な存在で、母親である妃はレバンネン王子にとって厳しい存在でした。王子は父王と王妃の息子として恥じないように、また真面目な性格ゆえに国や国民のために尽くそうと厳しい教育にも負けずに励んでいきます。
しかし世界にとっての害悪である禍や影など脅威に答えのない考えを繰り返していくうちに心の闇が募っていきます。実際にその頃のエンラッド王国では世界のバランスが崩れ、影の力が強まったせいで家畜や乳児の原因不明の急死や干ばつなど災厄に頭を抱えていました。
レンバネンの父王は早急に原因を探ろうとするものの、レンバネンの心もまた正気を失っており、ある日衝動的に父王を殺したのです。父親が死に、自分がしてしまった事の大きさによって我に戻ったレンバネンは思わず王国から逃げ出しました。
あてもなく荒野を歩いていたところ、魔法使いの男ことハイタカと出会い、なし崩しで彼と旅するようになったのが事の経緯となります。ちなみにアレンとはエンラッド語で「剣」を意味し、古代の言葉でレンバネンは「ナナカマド」と呼ぶそうです。
アレンの二重人格説や「影」について
引用元 https://www.ghibli.jp/works/ged/#&gid=1&pid=4
二重人格説について
アレンは、父親の命を奪ってしまうのですが、そのことについて本人は以下のように語っています。
「わからないんだ、どうしてあんなことをしたのか」
「ダメなのは僕のほうさ。いつも不安で自信がないんだ。
それなのに時々、自分では抑えられないくらい、凶暴になってしまう」
これは、「ゲド戦記」のみならず、他のジブリ作品にも当てはまる「視聴者に判断を委ねる作風」によるもので、他の作品では以下のようなものが挙げられます。
- 「紅の豚」のポルコが豚になった理由
- 「魔女の宅急便」でキキが魔法を使えなくなった理由
- 「崖の上のポニョ」でポニョがトンネルを怖がった理由
- 「となりのトトロ」でトトロが見える理由
このように、明確な答えを敢えて出さないことで、視聴者が色んな考えを巡らせるようにしたかったのではないかとも考えられますし、ジブリ作品が愛される所以のひとつではないかとも考えられます。
また、都市伝説で語られているような父親に対してアレンが取った行動というのは、宮崎駿氏と吾郎監督との関係を描いた可能性も含みつつ、それだけではなく若者が抱く閉塞感や衝動的な行動を描いて問題提起したかったのではないかとも考えられます。
また、監督の宮崎五郎氏は以下のようにも語っています。
「僕としてはアレンその人になったつもりはなく、アレンという子がずっと横に立って彼を見ていた感じです。彼と同化するのではなく、もっと客観的な状況で彼を捉えて、全体の中ではどうなんだと、横で見ていた」
ですから、安易に宮崎駿氏と吾郎監督との関係をそのまま描いたというものではなく、若者に対する問題提起として描かれたものではないかとも考えられるわけで、そういったところが二重人格として視聴者には映ったのかもしれませんね。
影について
影と光は対照的なものですが、アレンにとっては表裏一体のものだったのかもしれません。また、アレンの心境を具現化したという描写ではないかと解釈しています。つまり、父親の命を奪ってしまったときが「影」にあたり、旅を通じて成長を遂げて行くにつれての心境の変化が「光」となったように感じます。
つまり、若者に対して自分の弱さや悩みを受け止める事で一歩前進できるということを伝えたかったのではないかとも考えられます。
このような描写は、例えばスターウォーズに例えるならば、暗黒面に染まってしまったダース・ベイダーことアナキン・スカイウォーカーが、終盤で良心を取り戻した場面や、同じく闇落ちしたカイロ・レンがジェダイの騎士として返り咲いたことと近いように感じられます。
アレンが旅で出会った人物や、経験したこと

引用元 https://www.ghibli.jp/works/ged/#&gid=1&pid=6
アレンが旅で出会った人物を挙げるならまず、ハイタカです。別名で「ゲド」と言い、父王の命を奪って王国を飛び出したアレンを荒野で救った魔法使いです。世界のバランスを取り戻すために原因を探りに旅をしていました。
次に挙げるならハイタカの幼馴染で、アレンが明るさを取り戻す居場所を提供してくれたテナーです。テナーもまた魔法使いで、そんな彼女に育てられた火傷の少女・テルーことテハヌーはヒロインとして活躍します。
もっとも当初はアレンに対して辛辣で、その理由は彼が自分の命を大切にしなかったからです。そんなアレンが物語終盤で対決するのはクモ、不老不死になるとする邪悪な魔法使いとなります。
アレンが彼ら彼女らと出会った経験したことを簡単にまとめるなら、日常と冒険です。ハイタカとテナーのおかげで居心地の良い場所を得たアレンは心の明るさを取り戻し、テルーのおかげで自分の罪や弱さと向き合っていきます。
特にクモは父王の命を奪った要因となった影を使い、アレンの正気を失わせてハイタカとテナーの命を奪おうとしますが、それは言い換えてしまうと試練です。それらをひっくるめてアレンは物語序盤では思い描けないような成長を遂げました。
アレンがイケメンだと言われる理由

アレンが男前と言われる理由はいくつかありますが、そのうちの1つに剣の腕前が凄い事が挙げられます。アレンの剣は彼が父王を殺した際、とっさに手に取った魔法の剣ですが、物語序盤では抜くことはできませんでした。しかしその状態もとい剣が鞘に収まった状態でもアレンは圧倒的な強さを誇っており、特にテルーが人狩りに捕まってしまう場面では2人の剣士と相手することになりますが、無傷で勝利を収めます。
次にアレンが男前だと言われる理由を挙げるなら、テルーを抱きしめるシーンです。このシーンはクモに捕まったアレンをテルーが助けに来るというシーンですが、その際にアレンはテルーを抱きしめます。
思わずテルーは頬を赤らめますが、それとともにこのシーンで胸キュンした視聴者から「イケメン」という声は多いです。他にも「首輪姿にきゅんとした」や「岡田准一が声を担当しているからイケメン」など様々です。
アレン役を演じた岡田准一さんついて
1980年生まれ、ジャニーズ事務所所属であるV6のメンバーであり、カミングセンチュリー(カミセン)のメンバーでもある。大阪市枚方出身のアイドル、タレント、俳優、歌手。バラエティ番組公開のオーディションにて芸能界入りを果たしたのは14歳の頃。
ジャニーズ事務所からデビューしたV6において最年少メンバー。歌手ならびにアイドルとしての功績に、事務所最短のCDデビューがある。
俳優としての功績にフォーカスすると、2002年にテレビドラマ「木更津キャッツアイ」にて主演を努めたのち、2003年の同映画化における単独主演、同年カミングセンチュリーとしての映画主演。2006年の「ゲド戦記」においては声優としてアレン役に、また続編映画「木更津キャッツアイ」にて主演、2008年にテレビジョンドラマアカデミー賞にて主演男優賞。
2014年映画「永遠の0」にて日本アカデミー賞を含む3種類の賞で主演男優賞、2015年に再びテレビジョンドラマアカデミー賞、のちに「軍師官兵衛」にて主演男優賞など、輝かしい功績を獲得する。
「ゲド戦記」アレン役の鬼気迫る迫真の演技は、声優としてのポテンシャルを見出だし、生真面目ながら不安定な心の弱い青年の成長を見事に表現した。